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〇胸腹部臓器〇
外傷性胸部圧迫症



                                  顔面の溶血と腫脹








                                眼瞼結膜の点状出血
 


外傷性胸部圧迫症は、機械に挟まれる、階段で将棋倒しになる、土砂に埋まるなど、胸部を強く圧迫されて発症します。
交通事故では、2人乗りでバイクを運転中、自動車と衝突、バイクの後部に同乗中の被害者が投げ出され、胸部を強くたたきつけたことで発症したという例もあります。
 
声門が閉鎖された状態で、胸郭に大きな外力を受けると、気道内圧と血管内圧が上昇します。
大静脈、頚静脈には、逆流防止の弁がなく、胸部圧迫により上大静脈圧が上昇し、頭頚部や肺の小静脈や毛細血管が破綻、出血することにより、顔面や頚部を中心に紫紅色の腫脹と多数の溢血斑が出現、外傷性胸部圧迫症独特の顔となり、加えて、眼瞼結膜の点状出血も認められます。
意識障害や肺におけるガス交換障害により、低酸素血症が生じることがあります。
低酸素血症と脳障害のレベルにより、後遺障害等級も決まります。


 
※声門




             閉じた状態                          開いた状態



声門とは、左右の声帯の間にある、息の通る狭いすきまで、声帯とは喉にある2枚のヒダです。
2枚のヒダが合わさり、高速振動することにより、声が出るのです。
ヒトが呼吸をしているときは、空気を多く通すために声帯は開いています。
声門が閉鎖しているとは、息を止めているときです。
また、声を出そうとすると、声帯付近の筋肉が緊張し、声帯のヒダが互いに寄せられます。
寄せられた声帯の間から息が通り抜けることで、声帯は振動し、声になるのです。
 
顔面・頚部の点状出血と、皮膚が紫色になるチアノーゼ、舌や口唇の腫脹、眼瞼結膜の点状出血、意識障害などが現れます。
肋骨々折や肺挫傷を伴うときにも、これらの症状が出現します。
 
外傷性胸部圧迫症自体に対する特別な治療法はありません。
意識障害があれば、気道の確保を急ぎ、低酸素血症に対しては、酸素吸入や人工呼吸療法、血胸や気胸を合併していれば、胸腔ドレナージなど、症状にあわせた治療が選択されています。
 
※事故現場における気道の確保
回復体位=横を向いて寝る側臥位をとらせて、舌根が沈下することによる気道閉塞を予防します。
呼吸運動が不十分なときは、あお向けの仰臥位とし、マウスtoマウスの人工呼吸を開始します。
呼びかけに対する反応がなければ、ただちに心肺蘇生法を開始しなければなりません。
 


※結膜下出血





結膜に存在する大小の血管が破れて、結膜の下に出血が広がるもので、小さな点状から、斑状や眼球結膜全体を覆う広範なものがあります。
目がごろごろしますが、痛みなどはなく、眼球内部に血液が入ることもないので、視力の低下、視野の狭窄はありません。時間の経過で、自然に吸収されるので、心配することもありません。
 
 
正面から見える目の表面は、黒目は角膜、白目は強膜で覆われています。
この内、白目はさらに膜でおおわれており、それを眼球結膜と呼んでいます。
眼球結膜は目の奥で反転、上下のまぶたの裏側まで覆っています。
まぶたの裏側の膜は、眼瞼結膜といいます。
角膜は血管を持っていませんが、結膜には、大小の血管が多数存在しています。

 




外傷性胸部圧迫症における後遺障害のポイント
 
1)肺脂肪梗塞と同じで、低酸素血症による脳障害のレベルが後遺障害の対象となります。
意識障害が認められるも、気道が確保され、入院による呼吸管理で低酸素血症に至らないときは、後遺障害を残しません。
 
2)顔面の溶血と腫脹、眼瞼結膜の点状出血も、時間の経過で吸収され、改善が得られます。







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