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〇脊柱・その他の体幹骨〇
腰部脊柱管狭窄症

脊髄が走行している脊柱管のトンネルが狭くなり、脊髄や神経根が圧迫されている病気・疾患を脊柱管狭窄症と言い、狭窄の原因は、先天性の骨形成不全、後天的なものとしては椎間板ヘルニア、分離・すべり症、加齢にともなう椎間板、椎体、椎間関節や椎弓の退行性変性、軟部組織の肥厚によるものであり、そのためか、負担のかかる腰部に多く発症しています。
いずれにしても、交通事故外傷で脊柱管が狭窄することはありません。







神経が圧迫されることで、狭窄のある部分の痛みや、下肢の痛み、しびれなどが出現します。
腰部の脊柱管狭窄の特徴的な症状として、歩いたり立ち続けたりしていると、下肢に痛みやしびれが出て歩けなくなり、暫く休むと、症状が無くなるを繰り返す、間欠性跛行があります。
神経根が障害されると、下肢や臀部の痛み、しびれが、馬尾神経では、下肢や臀部にしびれ・だるさ感があり、頻尿などの排尿障害や排便障害をきたすこともあります。
 
頚部や胸部、腰部におよぶ広範脊柱管狭窄症では、四肢や体幹の痛み、しびれ、筋力低下、四肢の運動障害、間欠性跛行や排尿障害、排便障害をきたすことがあります。
 
確定診断はMRI画像で行われています。
各椎体の後方には、日本人の平均で前後径、約15mmの脊柱管があり、脊髄はこの中を走行していますが、基準として前後径が12mmになり、症状が出現していれば、脊柱管狭窄症と診断されます。
 
全体の70%は保存的療法で改善が得られています。
投薬による疼痛管理がなされ、温熱や電気による物理・運動リハビリが実施されています。
神経周囲の血流障害で症状が強くなることから、血管を拡張し、血流量を増やす薬剤の投与も実施されています。
脊柱管は腰が反ることで狭くなりやすいため、前屈位の保持を目的に装具を装着することや、運動療法では主に姿勢の改善や腹部の筋力強化、ストレッチなどを行うことで症状を改善させていきます。
 
保存療法では症状が改善しないとき、症状が急激に進行中のとき、馬尾神経が圧迫され、膀胱・直腸障害の出現で、日常生活に大きな支障をきたすときは、オペ適応となります。




従来の手術では、狭くなった脊柱管を広げることで症状を改善させていきます。
近年、これらのオペでは、専門医が内視鏡や顕微鏡が活用して効果を上げています。



 
腰部脊柱管狭窄症における後遺障害のポイント
 
1)本当に、腰部脊柱管狭窄症の確定診断がなされているのか?
被害者のMRI画像所見は、変形性頚椎症=変形性脊椎症に類似しています。
また、訴える症状は、脊髄の圧迫が主であれば脊髄症を、神経根の圧迫が主であれば神経根症を、さらには、両方の症状を示すこともあり、この点、変形性脊椎症、頚椎症性脊髄症=脊椎症性脊髄症に酷似しているのです。
 
私は、MRI画像から脊柱管の前後径を計測し、本当に12mm以下であるかを検証しています。
ところが、臨床の現場では、緻密な検証がなされないまま、脊柱管が狭窄気味かな? そして脊柱管狭窄症と診断されているものがほとんどなのです。
 
医学では、変形性脊椎症は、一定の年齢に達すれば誰にでも認められるもので、特徴であって、疾患、つまり病気ではないと断言しており、さらに、東京・名古屋・大阪の3地方裁判所は、年齢相応の変性は、素因減額の対象にしないとしているのです。
医師と裁判官が言い切っていても、保険会社は、脊柱管狭窄症の傷病名を確認すると、事故によるものではないと断定し、任意一括対応を中止としているのです。
つまり、加害者の不注意よりも、被害者の年齢変性が悪いとしているのです。
 
事故前に症状がなく、通常の日常生活をしており、頚椎症で通院歴がなければ、事故後の症状は、事故受傷を契機として発症したと考えればいいのです。
したがって、本当に脊柱管狭窄症なのか? これを疑って掛からなければなりません。
 
2)そうは言っても、脊柱管狭窄症が交通事故を原因として発症するものではありません。
事故前に症状があって、本当の脊柱管狭窄症と診断され、通院歴のある被害者は、一定の素因減額を覚悟しなければなりません。
やや古い判例ですが、H11-2-17-日、大津地裁判決は、59歳の男性に対して、事故自体は比較的軽微であるも、腰部脊柱管狭窄症、心因的要因などを理由に請求額の50%を損害として認めています。
 
厚生労働省は、広範脊柱管狭窄症を公費対象の難病と指定おり、以下の条件を満たせば、治療費は国庫負担されています。
 
?頚椎、胸椎または腰椎のうち、いずれか2つ以上の部位において脊柱管狭小化を認めるもの。
ただし、頚胸椎または胸腰椎移行部のいずれか1つのみに狭小化を認めるものは除く。
 
?脊柱管狭小化の程度は画像上、脊柱管狭小化を認め、脊髄、馬尾または神経根を明らかに圧迫する所見があるものとする。
 
?画像上の脊柱管狭小化と症状との間に因果関係の認められるもの。
 
?鑑別診断で、以下の傷病名は排除されています。
神経学的障害を伴わない変形性脊椎症、
椎間板ヘルニア、脊椎脊髄腫瘍、
神経学的障害を伴わない脊椎すべり症、
腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、
末梢神経障害、運動ニューロン疾患、
脊髄小脳変性症、発性神経炎、
脳血管障害、筋疾患、
後縦靭帯骨化症 、黄色靭帯骨化症
※後縦靭帯骨化が症状の原因であるものは、後縦靭帯骨化症として申請すること、
※本症の治療研究対象は頸椎と胸椎、または頚椎と腰椎、または胸椎と腰椎のいずれかの組み合わせで脊柱管狭窄のあるものとする。
 
?運動機能障害は、日本整形外科学会頚部脊椎症性脊髄症治療成績判定基準の上肢運動機能?と下肢運動機能?で評価・認定されており、頸髄症では、上肢運動機能?、下肢運動機能?のいずれかが2以下、ただし?、?の合計点が7でも手術治療を行うときは認められています。
胸髄症・腰髄症では、下肢運動機能?の評価項目が2以下、ただし、3でも手術治療を行うときは認められています。




※利き手でない側については、紐結び、ボタン掛けなどを参考とする
※スプーンは市販品であり、固定用バンド、特殊なグリップなどを使用しない




※平地とは、室内または、よく舗装された平坦な道路
※支持とは、人による介助、手すり、つかまり歩行の支え

 
症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しないが、高額な医療を継続することが必要なときは、医療費助成の対象とされています。
 
これ以上の詳細や手続は、厚生労働省のホームページ、指定難病をチェックしてください。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/98
 
 
3)認定される後遺障害について
脊柱の固定術等が実施されたときは、脊柱の変形等で11級7号が認定されます。
脊柱の可動域が、2分の1以下に制限されていれば、8級2号が認定されています。
 
保存療法にとどまるものの多くは、12級12号の認定ですが、四国の愛媛県で、脊髄症状として7級4号を認めたものを経験しています。
 
4)さらに、もう1つの注意点です。
受傷直後は、頚部捻挫の傷病名で、長期の治療が継続され、最終的に脊柱管狭窄症や後縦靭帯骨化症、頚腰部椎間板ヘルニア等の傷病名で、脊柱管拡大形成術に至ったものについては、損保料率機構調査事務所は、すべての治療先に症状照会を行い、自覚症状や他覚的所見などから、事故との因果関係を否認して等級を認定しないものが激増しています。
 


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