脳の中心部にある、脳室と呼ばれる空洞に出血したものです。
中央部の白く細長い像は、脳室内出血を抜き取るドレーンチューブです。
脳室は脳脊髄液で満たされており、その脳脊髄液はいくつかの脳室を順に流れていきます。
脳室と脳室の間は非常に狭い孔や通路でつながっているので、脳室内出血によって脳脊髄液の通り道が詰まると、上流にある脳室が急速に拡大して、周囲の脳を圧迫します(急性水頭症)。また、徐々に流れが滞り、脳室が大きくなることもあります(正常圧水頭症)。
脳組織の挫滅(脳挫傷)に伴って脳室の壁が損傷を受け、そこからの出血が脳室内にたまって脳室内出血に至ります。
急性水頭症では、脳室の拡大のために頭蓋骨の内圧が高まり、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などが認められます。
さらに、脳室の拡大による圧迫が脳ヘルニアの状態にまで進行すると、脳幹を圧迫し、呼吸や心機能を損ない、最終的には死に至ります。
急性水頭症に対しては、局所麻酔をかけて頭蓋骨に小さな孔をあけ、脳室にチューブを挿入し、脳脊髄液と脳室内の出血を取り除く脳室ドレナージ術が、緊急に行われます。