赤○は橈骨茎状突起、
青○は尺骨茎状突起
ショーファー骨折とは、橈骨茎状突起部の手関節内骨折であり、運転手骨折とも呼ばれています。
交通事故では、運転手がハンドルを握った状態で骨折することが多く、この別名がついています。
自転車で横断中、自動車との衝突で、手のひらをついて転倒したときにも、この骨折が起こります。
受傷機転が、手関節の背屈・橈屈強制で起こり、茎状突起が舟状骨と衝突します。
よって、舟状骨骨折も視野に入れて治療が行われています。
橈骨茎状突起部は、手関節を構成している骨であり、元通りの位置に整復されなければなりません。
それを理由として、現在では、ほとんどでオペが選択されています。
しかし、交通事故による粉砕骨折では、オペであっても安定性が得られず、予後不良です。
つまり、変形性手関節症に発展する可能性が予想されるのです。
ショーファー骨折における後遺障害のポイント
1)骨折後の骨癒合が得られていても、手関節として整合性が保たれているか、この点を検証しなければなりません。
骨折部の骨癒合状況は、3DCTで立証します。
手関節のアライメントは、左右の手関節の背側・掌側のXP写真を比較しつつ検証します。
変形性手関節症は、受傷後の二次的障害です。
症状固定時には問題とならなくても、時間の経過で発展することが予想されます。
示談書には、将来の可能性と、そうなったときの対処法を明記しておかなければなりません。
2)当面の後遺障害の対象は、手関節の機能障害で、多くは、12級6号が認定されています。
常識的な症状固定の目途としては、受傷から6か月で、漫然と治療を続けると、後遺障害の認定を受けられない可能性があります。
3)ちなみに、ショーファー(Chauffeur)とは、「お抱え運転手」を意味しています。
昔、クランクバーを回転させて車のエンジンをかけていた時代に、エンジンの始動用のハンドルの蹴り返しで、この骨折が頻繁に発生したそうで、ショーファー骨折は、そこから名付けられています。