橈骨々幹部骨折に伴い、尺骨頭の背側に脱臼を生じたものをいいます。
先に説明しているモンテジア骨折の逆バージョンです。
XPで頭骨の骨折を確認しても、肘関節のXPを行わないと、尺骨頭の脱臼を見逃します。
血管や神経などの軟部組織が損傷しているときもあるので、MRI、神経学的検査、関節鏡検査、筋委縮検査も必要となります。
成人では、保存療法ではなく、オペが選択されます。
整復が不十分では、回内・外運動に機能障害を残します。
橈・尺骨々幹部骨折、モンテジア骨折、ガレアッチ骨折における後遺障害のポイント
1)橈・尺骨々幹部骨折では、AOプレートとスクリュー固定が一般的であり、開放性の挫滅もしくは粉砕骨折でもない限り、偽関節や変形治癒の後遺障害を残しません。
2)モンテジア骨折、ガレアッチ骨折でも、初診で脱臼が確認されており、骨折がAOプレートとスクリューで固定されたものでは、ほとんどのケースで後遺障害を残すことなく治癒しています。
3)問題は、脱臼が見逃されてそのまま放置されたものです。
<事例>
傷病名は右尺骨々幹部骨折とされ、モンテジア骨折とは記載されていなかった。
事故直後の右肘橈骨頭部は明らかに脱臼しており、症状固定段階のXPでも亜脱臼が確認できる状態であった。
3DCTの撮影で亜脱臼を適示し、最終的には、右肘の機能障害で12級6号の認定。