受付時間 平日9:00〜17:30 TEL:0120-316-752 タップするとお電話がかかります

お問い合せ 債務診断以外の目的には使用いたしません。

〇下肢・足趾〇
外傷性骨化性筋炎(がいしょうせいこっかせいきんえん)

本来、骨組織が存在しない部位に発生する骨化と定義されています。
異所性骨化症と診断されることもありますが、骨化性筋炎と同じ傷病名です。
筋肉、腱、靭帯、臓器、関節包などの軟部組織に、石灰が沈着して異所的骨形成が起こるのです。
 
外傷性骨化性筋炎は、筋肉の炎症に引き続き、カルシウムが沈着し、石灰化現象が起こって筋組織の中に骨が形成されることを意味しているのです。
 
血液検査による血中ALPの数値、XP画像、骨シンチグラム検査で確定診断が容易です。
 
骨化筋炎、異所性骨化症は、以下の経過をたどって進行していきます。
?受傷、筋組織の損傷と血腫の形成、
 
⇒?血腫の吸収と同時に石灰化が生じる、
 
⇒?約2週間で石灰化部分が拡がる、
 
⇒?3、4週間を経過すると、石灰化した部分が明瞭となり、骨化がXPで鮮明となる、
 
⇒?約4、5カ月、患部を愛護的に動かしてやれば、骨化した部分が徐々に小さくなっていく、







受傷直後は、RICE処置が重要であり、これにより、血腫の拡大を防ぐことができます。
患部の修復が始まる2〜3週間位は、固定し、患部への刺激は極力避けるのがベターです。
血腫が徐々に減り、石灰化した部位がXPで確認できる段階となれば、固定を外します。
固定を外しても、無理やり動かすリハビリを実施するのは逆効果です。
痛みを伴わない角度の範囲内でストレッチや関節運動を開始します。
これで、骨化した部分は徐々に消失し、それに伴って、可動域も回復します。
 
外傷性骨化性筋炎は、打撲に対する不適切なケアがもたらす長期的な合併症なのです。



 
外傷性骨化性筋炎における後遺障害のポイント
 
1)血液検査による血中ALPの数値、XP画像、骨シンチグラム検査で確定診断が容易であり、これに対する治療法も確立されています。
 
大きな血腫では、血栓溶解剤を血腫内に注射し、固まった血腫を溶かして吸い出す治療も実施されており、この方法であれば、3週間前後で治癒すると報告されています。
 
大きな血腫ではなく、筋肉内に広範囲に拡がる点状出血では、上記の治療はできず、自然治癒を待つしかありません。
やや、時間がかかることもありますが、いずれも、後遺障害を残すことなく、改善が得られています。
 
2)深刻な外傷性骨化筋炎の例




以下のような事例もあるようです。
 
23歳・男性
頭部外傷、遷延意識障害、左股関節後方脱臼骨折で入院中の被害者
受傷から3か月を経過した段階で、左股関節部に、上記の外傷性骨化筋炎が認められた。
入院治療先は、頭部外傷、遷延意識障害の治療に集中しており、左股関節後方脱臼骨折は、放置されたまま。
 
その後、意識は回復したが、左股関節と左膝の関節は、完全強直状態。
主治医は、頭部外傷、脊髄損傷では、11〜22%で異所性骨化が発症すると報告されており、頭部外傷後の長期昏睡期間や多発骨折による長期間の関節運動停止が誘因ではないかと言われているが、原因の究明には至っていないとのこと。
異所性骨化の発生部位は股関節、肘関節、肩関節に多いと報告されています。
 
本件の被害者は、飲酒で赤信号横断という事故発生状況であり、70:30の過失割合で、相手方の保険会社の対応は受けられず、相手の自賠責保険も重過失で20%減額が予想されます。
別居の未婚の子であり、東北地方の実家にある自動車の任意保険を調べたのですが、人身傷害保険に加入しておらず、損害賠償はお手上げ状態です。
 
 
現在、頭部外傷、脊髄損傷後や股関節形成手術後の異所性骨化には、骨代謝改善剤が用いられており、効果を上げているとのことです。
 

3)被害者側が、任意保険の人身傷害保険に加入していれば、損害のリカバリーはできる?






加害者が任意保険に加入していないいわゆる無保険車事故であっても、被害者が自動車を保有しており、任意保険に加入していれば、人身傷害保険、無保険車傷害保険に請求することができます。
実際、任意保険に加入していない(=自賠責保険のみ)のに自動車を運転している人は意外と多いもので、このような人が事故を起こした場合、被害者は満足のいく賠償を受けられない可能性が極めて高いです。
 
このときの被害者が、実家を離れて自活をしていても、独身であれば、別居の未婚の子として、実家の人身傷害保険、無保険車傷害保険に請求することができます(※家族の保険内容を確認しましょう)。
 
先の被害者は、自動車を保有しておらず、実家の自動車にも人身傷害保険の加入がありません。
深夜の飲酒による赤信号無視の横断であり、労災保険の適用も受けられず、相手方の自賠責保険のみの請求ですが、それさえも、重過失減額で、傷害・後遺障害部分は20%カットとなります。
23歳の若者で、後遺障害は高次脳機能障害で1級1号が確実視されるのですが、自賠責保険からの3200万円の支払で解決せざるを得ません。





お問い合せ

ご相談お問い合せ