受付時間 平日9:00〜17:30 TEL:0120-316-752 タップするとお電話がかかります

お問い合せ 債務診断以外の目的には使用いたしません。

〇下肢・足趾〇
股関節中心性脱臼(こかんせつちゅうしんせいだっきゅう)

先に説明した股関節後方脱臼骨折は、dashboard injuryを原因とすることが多いのですが、中心性脱臼は、転子部の強打、つまり、側方からの外力が加わることで発症しています。
交通事故では、自転車・バイクVS自動車の衝突で、自転車・バイクの運転者に多発しています。
 
関節包が敗れることは少ないのですが、臼蓋底骨折により、大腿転子部は陥没します。
一般的な治療としては、大腿骨の遠位部を力点とし、10数kgの重りで4週間の直達牽引を行います。







これにより、大腿骨を臼蓋底から引っ張りだし、臼蓋底骨折部が自然に癒合するのを待つのです。
長くても、4〜6週間でリハビリテーションに移行できます。
 
外傷性股関節脱臼には、後方脱臼、中心性脱臼以外にも、前方脱臼があります。
前方脱臼では、関節包前面を損傷し、大腿骨頭骨折や大腿骨頭靱帯断裂、大腿動脈損傷、大腿神経損傷を合併することが多く、重症例ですが、滅多に発生することはありません。



 
股関節中心性脱臼における後遺障害のポイント
 
1)脱臼骨折ですから重症例なのですが、ボールのように丸い大腿骨頭が、お椀状の受け皿である寛骨臼蓋底をピンポイントで突き破ったものと想定してください。
直達牽引により、臼蓋底骨折部の骨癒合が良好に得られれば、骨頭壊死の可能性も低く、予後は良好で、後遺障害を残すこともありません。
 
2)骨頭壊死の可能性は低いとしても、近い将来の変形性股関節症や骨化性筋炎は予想されます。
3DCT、MRIで骨癒合を立証して、それらに備えなければなりません。
 
3)やはり、ダラダラと漫然治療を続けると、機能障害や神経症状は否定されることになります。
6、7か月で症状固定を決断しなければなりません。
 
4)事例
72歳の男性、自転車VS自動車の出合い頭衝突で、右股関節臼蓋骨折と診断。
ところが高齢であり、オペはできないとのこと。現在、入院中であるが、このままでは寝たきりになるのでは、と家族は心配に。
 
入院中の被害者は、右大腿部の直達牽引を受けていた。
主治医によれば、右股関節の中心性脱臼であり、直達牽引で、保存的に臼蓋底骨折部の骨癒合を経過観察しており、あと2週間の牽引で、リハビリを開始するとのこと。
→股関節中心性脱臼の一般的な治療が実施されており、これで寝たきりはあり得ません。
 
その後、リハビリが続けられたが、大腿骨転子部はやや陥没しており、すでに、変形性股関節症の初期段階。
これ以上、股関節症が進行するのを防止する観点から、杖使用による歩行が指示され、症状固定となる。
等級は、変形性股関節症が認められ、股関節の機能障害として10級11号が認定。


お問い合せ

ご相談お問い合せ