膝蓋骨の裏の軟骨面は、大腿骨の前面の軟骨と関節を形成しています。
これを、膝蓋大腿関節と呼びます。
膝蓋骨々軟骨々折は、若年の女性に多く、膝蓋骨脱臼に伴うもので、膝蓋骨の内側に小さな軟骨片が残置しています。膝蓋骨が脱臼するとき、元の位置に戻るときに、大腿骨の外側の突起と膝蓋骨が衝突し、こすれあって、膝蓋骨軟骨々折が起こるのです。
オペにより、骨片を元の位置に戻すか、除去して固定します。
スリーブ骨折は、10歳前後のサッカー、野球少年に多い膝蓋骨下端の剥離骨折で、骨片が小さく見逃されることが多いので要注意です。
治療としては、保存的にギプスによる外固定を3〜5週間行われています。
膝蓋骨骨折、膝蓋骨脱臼、膝蓋骨々軟骨々折における後遺障害のポイント
1)一般的には、膝蓋骨骨折で後遺障害を残すことはほとんどありません。
2)ところが、相談では、受傷から4カ月以上を経過しているのに、痛みで膝が曲がらない、腫れが引かないと訴える被害者を見かけます。
この原因を、検証します。
膝蓋骨の上端には大腿四頭筋腱が付着し、その先に膝蓋腱膜と呼ばれる膜が膝蓋骨を覆い、膝蓋骨の下端には、膝蓋靭帯が付着しています。
大腿四頭筋腱、膝蓋骨、膝蓋靭帯からなる仕組みを膝伸展機構と呼び、膝を伸ばす際に膝蓋骨が支点となって十分に膝の伸展筋力が発揮されるようになっているのです。
ところが、支点となる膝蓋骨が骨折により機能しなくなると、膝の曲げ伸ばしに非常に大きな影響をおよぼすことになります。
さらに、膝蓋骨裏の軟骨面は大腿骨の前面の軟骨と関節を形成しており、膝蓋大腿関節と呼びます。
膝蓋骨骨折によって、膝蓋骨の裏の軟骨部分に骨折線が入り、膝蓋大腿関節部の滑らかさが損なわれると、関節内で炎症を起こしてしまうときがあります。
膝蓋骨の骨折部分は癒合し、骨折線が無くなったとしても、関節面の滑らかさを失っており、痛みで可動域が狭くなり、腫れが引かないことになるのです。
つまり、膝蓋骨骨折後の骨癒合状況および軟骨損傷を立証すれば、機能障害として12級6号、もしくは神経症状として12級13号、14級9号が認定される可能性が出てくるのです。
3)変形骨癒合は、3DCT、軟骨損傷はMRIで立証します。
交通事故では、膝蓋骨に対する直撃、直達外力で骨折や脱臼を発症しています。
膝蓋骨が骨折するほどの衝撃を受けていれば、その裏側の軟骨が損傷していても、なんの不思議もありません。しかし、専門医でもなければ、これは日常的に見逃されているのです。
これらを発見、立証して、後遺障害を目指すのが、プロの技です。