いわゆる捻挫癖で、なんども捻挫を繰り返し、痛みが持続する障害を、「足関節不安定症」と言います。
内返し捻挫で損傷した、外踝下にある外側靭帯、前距腓靭帯と踵腓靭帯が、十分修復されていないことを原因として、足関節不安定症が出現するのですが、さらに放置しておくと、足関節の軟骨も損傷し、変形性足関節症に増悪、日常歩行に、深刻なダメージを与えます。
足首を強固に締結する主要な靱帯は、前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯、𦙾腓靱帯の4つです。
治療は、装具による足首の筋力強化リハビリが中心です。
改善しないとき、アスリートでは、靭帯の縫縮術や靭帯再建術が行われています。
また幼少期の捻挫では、靭帯の断裂ではなく、靱帯の付着部が剥離骨折するのが一般的です。
これが、骨の欠片として残り、スポーツ年齢になって痛みや捻挫ぐせを起こすこともあります。
治療は、上に同じです。
足関節不安定症における後遺障害のポイント
1)足関節不安定症は、内返し捻挫、足根骨の脱臼・骨折に伴う、外傷性の二次性疾患です。
本来の捻挫とは、靭帯、半月板、関節包、腱などの軟部組織の部分的な損傷を言います。
現在でも、XPで骨折や脱臼が認められなければ、単なる捻挫の扱いで、治療が軽視されています。
確かに、数週間の安静、固定で治癒するものが多数ではあるのですが、不十分な固定、その後の不適切なリハビリにより、部分的な損傷が完全な断裂に発展することや、本当は、完全に断裂していて、手術以外の治療では改善が得られない見落としも少なからず発生します。
いずれも、初期に適切な治療が実施されなかったことを理由として、不安定性を残し、捻挫を繰り返すことになり、軟骨をも損傷し、疼痛と歩行障害の変形性足関節症に行き着くのです。
2)足首がジクジク痛み、歩行時、階段の上がり下がりで足首がぐらつくなどの症状があるときは、受傷から2か月以内に、専門医を受診する必要があります。