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〇下肢・足趾〇
アキレス腱断裂



<事例>
右アキレス腱断裂の主婦、57歳。
4か月前、犬を連れて自宅近くを散歩中、後方から小学生の自転車に追突された。
右下腿に激痛が走り、立つことも歩くこともできなくなり、その場でうずくまってしまい、救急車で整形外科に搬送され、右アキレス腱断裂と診断された。







        断裂直後は、下腿後面のかかとのすぐ上の部分に凹が認められます。

 
上図のように、診察台で腹ばいになり、膝を屈曲した状態でふくらはぎをつかむと、通常、足は天井に向かって底屈するのですが、アキレス腱が断裂していると、足は元の位置のままでピクリともしません。
超音波やMRI検査であれば、断裂した腱を正しく把握することができます。
 
交通事故では、歩行中、突然、車が突っ込んできて、それを避けようとした際に、ヒラメ筋が急激に収縮すること、車の衝突を受けた際の直接の外力によって、アキレス腱を断裂することがあります。
 
治療は、保存とオペの2つですが、保存療法が中心になりつつあるようです。
従来の保存療法では、8週間のギプス固定を行い、その後にリハビリを始めるとされていました。
しかし、これでは、治療期間が長く、筋力低下や腱の癒着が生じ、再断裂の可能性が高まることが指摘され、現在では、2週間の保存療法で、リハビリを開始する早期運動療法が主流となっているようです。
 
なお、前記事例の主婦は、山歩きが趣味で、治療先の勧めもあって、オペを選択したようです。








アキレス腱断裂における後遺障害のポイント
 
1)現在では、保存療法と早期リハビリで、オペと遜色のない治療効果を上げています。
ただし、保存療法の泣きどころは、早期、受傷から5日以内の固定が必要なことです。
足を正しい角度で固定し、アキレス腱の再生を促す治療方法ですが、アキレス腱は、5日を経過すると腱の硬化が始まり、正しい角度で足を固定することが困難で、癒着する可能性が予想されます。
アキレス腱断裂では、保存療法で早期リハビリに対応している治療先を受診しなければなりません。
 
2)若年者であれば、後遺障害を残すことなく治癒するのが一般的です。
高齢者では、アキレス腱部の痛みや足関節に運動制限を残すことが予想されますが、14級9号が限界でしょう。





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