〇下肢・足趾〇
<足根骨の骨折>外傷性内反足(がいしょうせいないはんそく)
足の裏が内側を向き、外側部だけが地についている状態を内反足と言います。
先天性のものが圧倒的ですが、交通事故外傷でも発症することがあります。
足関節の捻挫に伴って発症するものに、短腓骨筋腱縦断裂(たんひこつきんけんじゅうだんれつ)があります。
足の捻挫のあと、いつまで経っても外踝(くるぶし)の後部に疼痛があるときは、短腓骨筋腱断裂が疑われるのです。
上図は、オレンジ色が短腓骨筋、青色が長腓骨筋で、どちらも、足首を外へ返す働きをしています。
上図○印は、外踝(くるぶし)の後部ですが、そこでは、長・短腓骨筋腱が並んで走行しています。
足首を内側に捻挫したとき、短腓骨筋腱は、長腓骨筋腱と外踝の骨である、腓骨の間に挟まり、ストレスがかかり、縦に断裂することがあります。
また、短腓骨筋腱が外踝の後ろで亜脱臼して、縦に断裂することもあります。
外踝の後ろで、短腓骨筋腱が断裂したときは、外踝の後部が腫れ、疼痛を発症します。
内反足は、外反扁平足とは逆の、「く」の字の変形をきたします。
<ケース>
被害者:10歳女子
傷病名は、短腓骨筋腱完全断裂、長腓骨筋腱部分断裂、距骨外反、前足・中足部内反、右腓骨遠位端骨折、右腓骨遠位端線損傷など。
事故により外傷性内反足を発症。
10歳女子の右足は15°内反しており、左右の下腿部の比較で、右下腿が1.5cm筋萎縮。
足の外側縁の接地であることから、第5中足骨々頭と基部にタコを生じていた。
足の内返しとともに尖足(せんそく)を伴うことが多いが、その徴候は認められず。
※尖足(せんそく)とは?
足の変形の一種であり、足の甲側が伸び、足先が下垂したまま元に戻らなくなった状態。
踵(かかと)を地面につけることができないので、つま先立ちのように足先で歩くことにな り、体幹の支持機能に悪影響を及ぼす。
治療先は、睡眠時以外の約16時間について、短下肢装具の装用を指示。
このケースでは、左足関節の機能障害で10級11号、外傷性内反足が12級相当、併合9級が認定されたようです。
外傷性内反足における後遺障害のポイント
1)外傷性内反足による後遺障害は、等級認定表に定めがない
足部の後遺障害は、足趾の欠損もしくは用廃、足関節の機能障害が規定されているだけです。
前記事例では、足関節に運動制限は認められないため、政令別表の規定により、他の後遺障害に準じて等級の認定を求めることになります。
2)外傷性内反足により、日常の生活でどのような支障が認められるのか
日常生活上の支障を丹念に立証する必要があります。
例えば、睡眠時間以外の時間は、短下肢装具を常に装用しなければならず、全力疾走は不可、わずかな距離の小走りがやっとの状態、など、日常生活上の支障を詳細に立証することが必要です。