先に、虹彩について、カメラの絞りに相当するもので、自律神経が瞳孔の散大筋、括約筋をコントロールし、明暗により眼に入る光の量を自動的に調節していると解説しています。
交通事故で、眼に鈍的打撲を受けると、ときとして、瞳の大きさを調節する筋肉が機械的な損傷を受けることがあります。
散大筋、もしくは括約筋の損傷により、瞳の大きさを調節することができず、瞳が大きくなったままの状態を外傷性散瞳と呼んでいます。
時間の経過で、徐々に回復することも報告されていますが、筋肉の損傷では、現実的には、治療の方法がありません。
明るいところに出ても、瞳を小さく調節することができず、まぶしさや像のぼやけの症状が出現し、散瞳が大きければ、この症状は強くなります。
まぶしさから逃れるには、虹彩付きのコンタクトレンズを装用することになります。
散瞳および虹彩根部の損傷によって外傷性の続発性緑内障を発症することも予想されます。
逆に、瞳が小さくなる、外傷性縮瞳となることもあります。
外傷性散瞳における後遺障害のポイント
1)瞳孔は、通常、光に反応して収縮します。
支配しているのは自律神経ですが、目に入る光量が低下すると最大6?の大きさに散大します。
猫の眼は、この機能を分かりやすく説明してくれます。
外傷によって瞳孔が開いたままとなり、光に対する反応が消失又は減弱したものを外傷性散瞳と言い、瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明を訴え労働に支障を来すものは、単眼で12級相当、両眼で11級相当が認定されています。
2)瞳孔の対光反射は認められるが、不十分であり、羞名を訴え労働に支障を来すものは、単眼で14級相当、両眼で12級相当が認定されています。
いずれも、対光反射検査で立証します。