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〇胸腹部臓器〇
外傷性尿道狭窄症について

尿道狭窄症は男性に多くみられる疾患で、外傷により、尿道粘膜を挫傷、これが修復される過程で尿道粘膜や尿道粘膜を取り囲む尿道海綿体に線維化、瘢痕化という異常が起こり、尿が通る内腔が狭くなる病態です。
症状が重いときは、自力で排尿ができなくなり、尿道や膀胱にカテーテルを入れた状態で生活しなければならなくなり、放置すれば、尿路感染症や腎機能障害に至ることも予想されます。
                                                                                   
尿道狭窄症の治療方法は狭窄の原因、狭窄の長さ、部位によって変わります。
これまでは、狭窄が1カ所で1cm未満の短いものは、まず尿道拡張ブジー、尿道内視鏡で観察しながら狭窄部の内尿道を切開する内尿道切開術=経尿道的治療を行うのが一般的でした。
後遺障害の認定基準も、経尿道的治療を前提として組み立てられています。
しかし、経尿道的治療は短期的には有効でも、長期的には、かなり高率で再狭窄するのです。
再狭窄では、再度経尿道的治療を行っても効果は得られません。
逆に、狭窄は複雑なものとなり、治り難くしているのです。
 
交通事故外傷を原因とする狭窄、1cmを超える長い狭窄、複数部位の狭窄では、経尿道的治療で治癒することはなく、尿道狭窄症を治癒させる方法は、尿道を作り直す手術、つまり尿道形成術を行うことになります。

 
?狭窄部切除、尿道端々吻合術
 
狭窄している部分を切除して、残った正常な尿道同士を縫い合わせるという非常にシンプルな方法で、膀胱に近い中枢側の球部尿道狭窄症に適応しています。
球部尿道は、恥骨の裏側でカーブしており、長さに余裕があります。
2cm程度の狭窄であれば、尿道端々吻合術で修復することが可能です。




尿道の出口寄りの末梢側球部尿道や陰茎部分の振子部尿道の狭窄では、1cm程度の短い狭窄であっても、切除することにより陰茎の変形、勃起に伴う陰茎の伸縮により血液の流れが悪くなり再狭窄を来す可能性が高いので、尿道端々吻合は適応となりません。
 

?後部尿道形成術
 
交通事故による後部尿道外傷は、骨盤骨折の10%に合併すると報告されています。
直腸、膀胱などの多臓器損傷を伴っていることが多く、まずそちらの治療が優先されます。
受傷直後は、尿の出口となる膀胱瘻を作成しておき、外傷が落ち着いてから尿道形成術を行います。
尿道形成術のタイミングは、尿道の炎症や感染がなくなり、瘢痕化が完了したときで、一般的には受傷から3〜6カ月が望ましいとされています。
手術は瘢痕部分を切除して尿道端々吻合を行いますが、断裂した膜様部尿道や前立腺が頭側へ持ち上がっていることが多く、うまく吻合するためにいろいろな工夫が必要になります。
球部尿道の尿道端々吻合に比べると、手間と時間のかかる難しい手術となっています。
 

?口腔粘膜を利用した尿道再建術
 
振子部尿道狭窄症や2cmを超える長い球部尿道狭窄症では狭窄部切除、尿道端々吻合が不可能であり、代用組織を利用して尿道を再建することになります。
狭窄部分を尿道の走行に沿って縦方向に切開し、尿道の代用となる組織をパッチとして縫い合わせて、尿道の内腔を拡張させるオペが実施されています。




狭窄部の瘢痕化が強く、内腔が極端に狭いときは、尿道下裂の修復術後に生じた狭窄などの複雑なときは、オペを2回に分けて行います。
まず、狭窄した尿道を切除したあとに代用組織を貼り付けるオペを先に行い、6カ月〜1年を経過した段階、貼り付けた代用組織がしっかりと体に馴染んだところで尿道の形に作り直すオペが行われます。
 
尿道の代用になる組織として、口腔粘膜が注目されています。
口腔粘膜には、複数のアドバンテージがあります。
口腔粘膜は少々熱いものや硬いものに触れても問題なく、口腔には多くの雑菌が繁殖していますが、口の粘膜が雑菌に感染して腐ってしまうことはありません。
つまり、口腔粘膜は頑丈で感染に強く、さらに、粘膜を採取しても、創は口の中に隠れているので、外観からは分からず、美容的に問題になることもありません。
オペ後は、口の中がひきつれる感覚、口腔内の痺れの訴えがなされますが、6カ月の経過で、これらの症状は消失しています。口腔粘膜の採取による後遺障害はありません。


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