腎臓が、老廃物をこしとって尿を作ることについては、説明しました。
今回は、尿を膀胱に送る尿管、尿を一時的に貯める膀胱、尿を排泄する尿道について解説します。
その前に、尿は、どのように作られているのか?
どのような過程をたどって、体外に排泄されているのか? 少し触れておきます。
ヒトは、空気を吸入して肺に取り込んだ酸素と、食事で、主に小腸から吸収した栄養分を血液の中に送り込んで、身体中の細胞に運び、供給を続けています。
細胞は、酸素や栄養分の供給がなければ、死滅することになり、ヒトも生存できません。
血液は、酸素や栄養分を身体中の細胞にくまなく届ける、大変重要な役目を果たしているのです。
血液には、もう1つの重要な役割があります。
それは、身体中の細胞から、不要となって捨てられたものを回収して、腎臓に送り込むことです。
腎臓では、血液中の不要なもの=老廃物を、こし取って、ろ過しています。
これは原尿とよばれ、大人では1日、ドラム缶1杯、150lにもなります。
もし、原尿の全てが尿となって排泄されると、ヒトは脱水症状となり、死に至ります。
原尿の内、水分の大部分は尿細管、集合管で再吸収され、尿は、濃縮されているのです。
利用できる成分=水分、塩分、ブドウ糖、アミノ酸などは、再利用のため体に戻されています。
本当に不要なもの=老廃物だけが、尿となり、尿管を通って膀胱に貯められるのです。
ヒトは、血液中に捨てられた不要なものを、尿として、体外に排泄しているのです。
腎臓は、絶え間なく尿を作っていますが、そのまま排泄されると、通常生活が維持できなくなります。
ですから、膀胱は、腎臓で作った尿を貯めておく袋の役目を果たしています。
そして、尿がある程度貯まったら、体外に排泄することになります。
※尿路、尿の流れ
左右の腎臓から尿管、膀胱、尿道に至る尿の通り道を、尿路と呼びます。
尿は2つの腎臓で絶え間なく作られ、尿管を通って膀胱へと流入しています。
そして膀胱から尿道を通り、男性では陰茎、女性では外陰部を経て体外に排出されています。
※尿管
尿管は長さが30〜40cmの筋肉の管で、その上端は腎臓、下端は膀胱につながっています。
腎臓でつくられた尿は、尿管を通って膀胱に流れ込みます。
尿管は膀胱壁の部分で括約筋を貫通しており、この括約筋は輪状の筋肉組織で、カメラの絞りのように開いて尿を通過させ、尿が通過すると、ピッタリ閉じるという働きをしています。
※膀胱
膀胱は伸縮性のある筋肉でできた袋状の器官で、尿管を通って流れてきた尿は膀胱にたまります。
膀胱は500mlの容量を有していますが、尿の量に応じて徐々に膨張します。
膀胱に300mlの尿が貯まると、神経信号が脳に送られ、排尿が必要であることを伝えます。
膀胱の出口は尿道につながっていて、出口にある括約筋が開くと、尿は膀胱から流れ出ていきます。同時に膀胱壁が自動的に収縮し、その圧力によって尿は尿道の中を下方へ押し出されていきます。
腹壁の筋肉が自発的に収縮することで、さらに圧が加わります。
尿管から膀胱への入り口にある括約筋はしっかりと閉じたままで、尿が尿管を上がり、腎臓の方へ逆流するのを防止しています。
※尿道
尿道は、尿を膀胱から体の外に排出する管です。
男性では、尿道の長さは16〜20cmで、陰茎の先端部で、女性では3〜4cmの長さで、外陰部で終了しています。