リスフラン関節部分を詳しく見ると、靱帯が、それぞれの骨をシッカリと締結しています。
上図のオレンジ色の靭帯が、リスフラン靭帯です。
水色で囲んだ靭帯は、隣り合う骨どうしを互いにつないでいますが、リスフラン靭帯だけは斜めに走って、斜め下の第2中足骨と楔状骨をつないでいます。
足の骨を横から見ると、リスフラン関節部分の頂点部は、足のアーチの頂点と一致しており、足部に体重がかかったときに、この関節がクッションの役割を果たしています。
リスフラン靭帯が損傷すると、つなぎ止めていた骨同士の連結が失われ、矢印の様に骨の間の隙間が開くようになり、このことを、「中足骨‐楔状骨間離開」と言います。
つまり、靭帯が切れて、骨どうしをつなぎ止めることができないので、リスフラン関節部分が不安定な状態になり、アーチ構造が崩れて、体重をかけたときに痛みを生じるのです。
治療としては、離開部分を寄せてギブス固定が行われるのが一般的のようです。
およそ1か月後にギプス固定を解除し、足底板を装用させ、リハビリを続ければ、改善が得られます。
リスフラン関節脱臼骨折・リスフラン靱帯損傷における後遺障害のポイント
1)MRI画像が存在しても立証できない場合がある
事故後に撮影したMRIで、中足・楔状骨間離開が認められれば、立証できる可能性があります。
さらに、受傷直後に、「リスフラン靱帯損傷」と診断されていることが理想ですが、傷病名の診断がなくても、足の甲部分に激痛と歩行時の痛みなどの自覚症状があり、それらが事故直後の段階からカルテに記載されていれば、後遺障害認定の可能性はあります。
しかし、例えば、MRI画像上で中足・楔状骨間離開が認められても、それが事故後8か月を経過して撮影されたものであり、診断書にも傷病名が記載されておらず、事故直後からの症状の訴えもないなどの場合には、後遺障害とは認定されないでしょう。
2)後遺障害が認められる場合もある
前回のコラムで、リスフラン関節の脱臼骨折では、ほとんど後遺障害を残すことはないと説明しました。しかし、それは、あくまでも一般論です。
交通事故で加わる外力は、スポーツの比ではなく、さらに、被害者の身体能力も、それほど鍛えられていないことがほとんどです。
痛みを残していれば、CT(3D)で骨癒合状況を、靱帯損傷はMRIで立証することにより、14級9号あるいは12級13号獲得を目指します。