1)頭部外傷後の意識障害、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること、
?当初の意識障害、半昏睡〜昏睡で、開眼・応答しない状態、JCSが3〜2桁、GCS、12点以下が少なくとも6時間以上続いていることが確認できる症例、
?健忘あるいは軽度意識障害、JCSが1桁、GCSが13〜14点が、少なくとも1週間以上続いていることが確認できる症例、
この他、R(不穏)I(糞便失禁)A(自発性喪失)などの付加情報をつけてJCS200-Iなどと表す。
CSは3桁が重度な意識障害で、GCSは点数が低いほど重度な意識障害と憶えてください。
高次脳機能障害における後遺障害のポイント
1)入口部分の3つの要件の中では、意識障害所見が最も重要となります。
つまり、意識障害のレベルが認定等級に直結しているのです。
脳神経外科医は、MRIでびまん性軸索損傷の所見が得られなくても、意識障害のレベルで、それらの傷病の存在を推定し、診断しています。
半昏睡〜昏睡状態が6時間以上継続していれば、立証上は、なんの問題もありませんが、5、7、9級では、外傷後健忘や軽度の意識障害であり、担当医が、入院中の被害者をつぶさに検証して、その詳細を把握することは、現実問題として困難です。
なぜなら、治療上の必要がないからです。
実態に反して、3、4日で意識清明とされれば、この後、なんと具体的に症状を立証しても高次脳機能障害は入口段階で否定されることになります。
2)立証のポイント
家族に対しては、受傷から6時間、1週間の意識障害の経過を詳細に確認し、それを申述書として文書化し、主治医には、申述書を提示して意識障害の記載を依頼しています。
すでに、間違った所見の記載がなされているときは、申述書を示して、訂正をお願いしています。
この場合の訂正とは、新たな所見の記載を意味しています。
経験則ですが、入院期間中であれば、修正は比較的容易です。
主治医の理解を得るには、外傷性健忘のエピソードを具体的に説明することです。
それでも、我々はこの立証に大変苦労しています。
3)想定される4つのパターン
1であれば、高次脳機能障害の立証に、苦労はありません。
2でも、なんとか頑張って立証に漕ぎ着けます。
3となれば、高次脳機能障害の認定は極めて困難となります。
4は論外で、高次脳機能障害として審査されることはなく、非該当です。
軽度脳損傷、MTBIは4に該当し、高次脳機能障害として評価されていません。