さて、鎖骨骨折、肩の腱板断裂等、傷病名ごとの、「後遺障害のポイント」をテーマに記事出しを続けますが、その前提条件として、まず、肩関節の構造について解説します。
骨だけで肩関節を見ると、丸い上腕骨頭が肩甲骨の窪みに、ひっついているだけで、肩甲骨は、鎖骨につり下げられるように連結し、他方で、肋骨にも乗っかっており、頼りなげな構造となっています。
肩関節は、上肢に自由度の高い運動範囲を与えていますが、極めて不安定であり、外傷の衝撃により、骨折や脱臼を起こしやすい関節構造となっているのです。
これらの不安定性を補う必要から、関節唇、関節包や腱板によって補強されています。
上方には、烏口肩峰靱帯があり、上方の受け皿となり、滑液包が潤滑の役割を担っています。
関節包は余裕を持たせる一方で、局部的に肥厚し安定性を高めています。
さらに、肩関節は、三角筋と大胸筋の大きな筋肉で覆われています。
三角筋は、肩関節を屈曲・伸展、外転、水平内転・水平外転させる作用があり、大胸筋は、肩関節の水平内転、初期段階の屈曲、内転、内旋動作などに関与しています。
ここでは、ムチウチに次いで多発している鎖骨骨折について、遠位端骨折、肩鎖関節脱臼、胸鎖関節脱臼の3つの外傷と後遺症を学習します。
そして、肩腱板断裂、肩関節の脱臼、反復性肩関節脱臼、肩関節周囲炎、上腕骨近位端骨折、上腕骨骨幹部骨折に進み、肩関節周辺で発生している全ての傷病名と後遺障害を学習します。