〇上肢・手指〇
手指の各関節の側副靭帯損傷 親指MP関節尺側々副靭帯の損傷(スキーヤーズ サム)
右手背側
右手掌側
手指関節の両側には、関節の側方への動揺性を制御し、横方向に曲がらないようにしている側副靭帯(そくふくじんたい)という組織があります。側副靭帯は転倒などで、側方への強い外力が加わったときに損傷します。
受傷直後に適切な治療を行わないと、側方へ指が曲がる、力が入らない等、不安定性を残します。
生じやすいものとしては、
母指(親指)
MP関節(指の付け根の関節)
尺側々副靭帯の損傷があります。
スキーの滑降で、ストックを使用しているときに発症することが多いことから、「スキーヤーズサム」という傷病名になっています。
母指第2関節の尺側の側副靭帯が断裂するもので、完全断裂のときは、ギブス固定を行っても治癒することはありません。最初からオペの選択となり、専門医の領域です。
不安定性が少ないときは、2〜4週間のギプス固定で、その後、徐々にリハビリが開始されます。
XPで異常が確認されないときでも、一定期間の外固定は必要となります。
それでも、不安定性が改善されないときは、手術が選択されます。
母指MP関節尺側々副靭帯損傷では、靭帯の断端が反転して、母指内転筋腱膜の下に挟まってしまう、ステナー障害を発症する可能性が高く、そうなると、治癒不能の状態が起こり、オペが必要です。
受傷後早期では、靭帯縫合術が、完全断裂で3週間以上が経過したときは、断端同士を縫合することが困難となり、側副靱帯再建術が必要となることが予想されます。