脳を包んでいる髄膜の3層のうち、硬膜の内側にある薄いくも膜と脳との間に出血が広がったものを、くも膜下出血と言います。
通常、くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂を原因とする出血です。
外傷を原因とするときは、「外傷性くも膜下出血」と診断されています。
脳挫傷の所見がないのに、外傷性くも膜下出血が確認されるものは、ある意味、びまん性軸索損傷と同じ捉え方で対応しています。
くも膜下出血を手術で取り除く効果はほとんどないため、手術は通常行われません。出血は自然に吸収されます。
予後は、合併する脳挫傷やびまん性軸策損傷の有無と程度によります。
また、脳脊髄液の流れが滞って、あとから外傷性正常圧水頭症をきたすことも予想されます。